2020-06-01から1ヶ月間の記事一覧
血のような汗を流しながら永遠の坂道を登っていた。背中を絶えず灼かれているのは、赤黒く膨張した太陽を(いつの間にか)背負わされていたためだ。夕暮れは気忙しくヒグラシと共に喚き、傍らを傍若無人な鉄の車が頻繁に下っていった。 耳許で、熱く湿った微風…
一杯のお茶と全世界を交換してもいいと誰かが言ったが、むろん、いいだろう、但しそれは全世界であって自分の肉体とじゃないのだ。…… (安部公房『壁』-第二部 バベルの塔の狸) * 気がつくと彼はふたたび、……いや、みたび、よたび、……さて、ほんとうのところ…